マイホーム購入の相談は親族にすべし?贈与税率の優遇

マイホームを持っている人の間で、増税について気になる話題がここ数年続いています。一つは、相続税の増税。一戸建てと土地の所有があれば、相続税課税対象になるかもしれないという噂を聞いた事があるでしょうか。
基礎控除の引き下げによって、相続税課税対象者が拡大しました。平成27年の税制改正から、対象者はおよそ2倍近くになると想定されています。
しかし、マイホームをこれから購入しようと思っている人にとって、うれしい税制もあります。その一つが贈与税です。

〇マイホーム購入資金の贈与を受けると
家を購入するなら、頭金をより多く準備すること。これは購入後に支払いがスタートする住宅ローンの返済を楽にするべき理想といえます。しかし、まとまった貯金をしてから購入するとなると、買い時を逃してしまう不安もあるでしょう。 
そこで、まずマイホームの購入を検討している人は、親または祖父母に相談してみるといいでしょう。

●贈与税をお得に活用 生前贈与で節税
子孫世代がマイホームを購入するとき、直系尊属から贈与を受ける場合に限って、贈与税が軽減されるという税制改正が行われました。
贈与税はこれまで、誰から贈与をうけてもその税率は一律でした。改正によって、祖父母または父母から受けた援助(贈与)に限って、10~55パーセントの8段階区分で優遇を受ける事ができます。

●贈与税率が緩和される条件は
基礎控除を受けた後の課税価格が300万円~3000万円の区分は税率が緩和しています。3000万円を超えても4500万円までの区分は控除額が上がっているので、実際の贈与税納付時には減税になる可能性があります。

〇生前贈与税として認められるためには
親、祖父母世代がこどもに資産を贈与して、お金を使ってもらおうというのがこの贈与税緩和の目的です。
家族に生前贈与することで節税につながるメリットはありますが、きちんと手順や手続きなどの制約を理解しておく必要があります。

●贈与を可視化することが重要
例えば、子孫がマイホームを購入するときに、まとまった資金援助を親・祖父母が行うとしましょう。資金を通帳に移そうと考えて、その通帳を親や祖父母が準備・管理していたら、贈与と認められないことがあります。
大切なのは、贈与する側と受贈者の合意です。贈与を受ける側も認識をしていて、お互いに「贈った・受けた」と証明する書類や実際の行動が求められます。
先の例で、預金口座にマイホーム資金を預ける場合であれば、子どもや孫が普段から使っている口座に振り込むこと、贈与誓約書を互いに確認しながら作成してサインをする、といった「合意の客観性と可視化」がポイントになります。
生前贈与をした資金は、マイホーム購入に限らず、受贈者が使いたいときにお金を使えるというメリットがあります。相続税の節税にもつながりますので、手順と申告をしっかり把握した上で、効果的に贈与税軽減を活用しましょう。

【著  者   長 岡  利 和】


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