住宅ローンで保証人を求められた…「物上」と「連帯」の違い 

成人して、自分の収入と責任で物を購入するようになると、何かしらのタイミングで親から「保証人にはなるなよ」といわれた経験がありませんか。人生の先輩として、また一人の大人としてのアドバイスは、注意や危機感を持つことの大切さを教えてくれるものです。
しかし、「保証人になる」ということそのものは、時と場合、契約内容によって変わってきます。何をどのように保証するのか。そちらのほうがむしろ重要です。
〇住宅を購入するときに求められる「保証人」は
単身で住宅を購入し、ローンを組む人はおそらく保証人を求められることは少ないでしょう。往々にして問題となるのは、家族(夫婦)で住まう家を購入するときの住宅ローンです。

●同居人=住宅ローン債務者と無関係か?
世帯を持つ人が住宅ローンの債務者となる場合、その債務者の収入や勤続年数がローン審査対象となるのは言うまでもありません。ただ、夫(妻)が組んだローンだから、同居している妻(夫)には一切関係がない、というのもまた話が違います。
一世帯が暮らす住宅のローンを返済していく上で万が一返済が滞った場合、債務者に対してだけ担保を求めるのなら、仮に債務者の収入で生活を維持している他の家族のものになんら影響が及ばないということになってしまいます。
しかし、ローンを組む原因となった住宅には、家族が一緒に生活していますよね。よって、住宅ローンを組む際はその物件に抵当権を設定し、その物件(住宅)に住まう人(共有者)はみな、物上保証人になる事となります。

●物上保証人ってなに?
物上保証人とは「自己の財産をもって他人の債務の担保に供した者
の意です。
(物上保証人:ウィキペディアより
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%A9%E4%B8%8A%E4%BF%9D%E8%A8%BC%E4%BA%BA)
世帯主が住宅ローンを組んで建物に抵当権を設定したら、世帯主以外の持つ財産についても担保を設定するということ。ちなみに、担保とは「将来起こるかもしれない不利益にそなえて補填の準備をしておく」という意です。
物上=物の上について(のみ)補填の範囲が及ぶということを意味します。よって、抵当物件に住む人の財産を、返済不能(遅延等)となった時にそなえて担保しますよ、ということです。

〇債務の保証と物上の保証は違う
連帯保証と物上保証は、言葉こそ似ていますが全く違います。連帯保証は、債務者が負っている債務(ローン返済)の責任を共に負う、と考えると分かりやすいでしょう。
細かな法の定めは割愛しますが、財産を担保にする物上保証の場合、ローンの返済とは別です。連帯保証人はローン債務者の「返済すべきローンに対する責任
を分かつので、主債務者の返済が滞れば連帯保証人に請求が及びます。加えて、連帯保証債務者のどちらに請求しても、それを拒むことができないので、「連帯保証人になってくれ」と言われた時こそが、人生の先輩方の助言に当てはまる場合だと解します。
引き受けるかどうかは、債務を負う覚悟と十分な検討、注意を以って決断しましょう。

【著  者   長 岡  利 和】


投稿日

カテゴリー:

最新記事一覧