一戸建ての夢に踏み切る前に 現実の生活習慣見直しを

不動産を購入するなら、頭金をより多く準備したほうがいい…というのは、一般的によく知られていることです。頭金0でも今は融資を受け入れする金融機関が増えてきていますが、購入時に返済計画をしっかり練っておかないと、いざローンの返済が始まってから「生活が間々ならない」という理由で手放したり、中には個人再生などの債務整理をする事態に陥る人も少なくありません。

いまこの記事を読んでいる人の多くは、購入後の生活に何らかの不安を感じている人でしょう。そして、頭金にするための貯金がなく、これから頑張って貯金してみようかと思っているかもしれません。また、貯金をすることに、日常すべてが苦行に感じられるような窮屈を想像していませんか?

○貯金したすべてを頭金にするのはリスキー
ここで追い打ちをかけるようなアドバイスかもしれませんが、貯金に励んで貯めたお金のすべてを頭金にしてはいけない、ということを覚えておきましょう。

●長いローン生活に必要な「不測の備え」 
生活をする上では、いつ何時何が起こるとも限りません。貯金ができずに過ごしてきた人は、おおよそ「何とか毎月の給料でやりくりできた」「足りない分は借金してその返済を続けている」という人が多いのではないかと思います。
では、たとえば返済の軸となっている大黒柱が病気やけがで働けなくなったら…賃貸物件なら引っ越しという選択もあるでしょう。しかし、不動産を所有していると安易に手放したり引っ越しをすることはできません。そのためにも、最低3カ月程度の生活費は、手元に残しておくのがベストです。

●買ってからがスタート 日常生活の資金繰り
マンションや一戸建て、土地を購入するということは、毎月の返済額が働き盛りの間、否応なしに続くということです。そして、賃貸と不動産所有の違いは「メンテナンス」です。
貯め癖がなく、その時々で乗り切ってしまうと、毎月の出費変動がこれまで以上に大きくなってしまいます。一戸建ても、住み始めはノーメンテで快適生活。しかし、5年を過ぎたころから、家じゅうのいたるところで老朽が目立ち始めます。このメンテナンスは日常生活レベルの出費では到底賄えないほど、膨らんできます。

●固定資産税が単純に上乗せ
家賃と同じくらいなら、毎月払っていけるだろう、という漠然とした考えもお勧めしません。確かに返済額のめやすとはなりますが、毎月の家賃相当分の出費に加えて、毎年必ず固定資産税の納付書が送られます。この出費は年間数十万円にもなりますので、毎月3~5万円程度は余裕をもって家用貯蓄をしておかねばなりません。
一戸建てに対するあこがれや夢は、誰しも一度は考えるライフスタイルの要です。一戸建て住宅の購入に適した条件や情報もあふれていますが、まずは今の生活内容をいったん冷静に見つめてみましょう。住宅価格以外に、想像以外の出費もあります。それを滞りなく払っていくことができるかをリアルに、冷静に想像してみることが、健全な生活を維持するために実は非常に大切なのです。

【著  者   長 岡  利 和】 


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