相続問題にありがちな 税と土地の評価

土地や建物といった不動産を所有している人にとって、避けて通れないのが相続。親が所有している土地を、子ども(兄弟姉妹)の誰が相続するか。これは、子どもが独立して既に所帯をもっている場合、特にトラブルになりやすいものです。
不動産の相続がどうして問題になるのか。理由はふたつ。現金や預貯金、株券のように、そのもの自体の価値がわかりにくいということ。そして、安易に分割することができないという点でしょう。
親族や兄弟間で、お金に絡む問題を暗に期待したり心配したりするより、来るべき時に備えて、前向きに現実を受け止める準備をしておくことが大切です。

○土地の評価と相続
土地は、その区画(一筆)ごとに課税評価します。広い土地を所有している場合、相続税対象の資産として、一筆の価値換算をして税額を算定します。
実際に相続税を納めるときは、土地や建物などの評価額に税率を掛け、現金で納付するのが前提です。不動産は即現金化することが難しいため、相続に備えて税額をあらかじめ予測して現金で準備しておく必要があります。

●相続した人に一括請求する相続税
仮に、親が所有していた一筆の土地を、子どものうち一人が相続した場合、相続をした子ども一人に対して土地に掛かる税金納付義務が発生します。その土地を活用するつもりがあるならまだしも、土地が不用な子どもにとっては大きな負担です。
反対に、親の所有している土地相続を兄弟の数人が望んでいたら…。まさに泥沼の小競り合いが始まる可能性があります。

○土地の相続をスムーズに行う方法
土地の評価は路線価を元に計算します。土地が面している二つ以上の道路のうち、最も評価が高い道路の路線価を基準に評価額を決めることになります。
例えば、300平米の土地が路線価50万円と70万円の道路に面している場合、(税を納める立場としては低い路線価を採用して欲しいでしょうが)300平米×70万円=2億1000万円の評価額となるのです。

●土地を分割したら評価は変わる?
いずれはやって来る相続トラブルを避けるために、ひとつの区画を分筆するという方法があります。それぞれの持分に基づいて、あらかじめ土地を分割しておくということです。
分筆によって、事前に相続する土地を分けて管理できるので、ひとつの土地を争うトラブルを避けられます。
また、一筆の評価より、分筆してそれぞれの土地評価を合算したほうが評価額を減額できます。分筆して低い路線価に面した土地があれば算出基準が低くなるので、合算したときに一筆(高い路線価だけ)の評価をするより額が下がるという仕組みです。 
土地を所有しているなら、後の相続トラブル回避のためにも、生前にできることを話し合いの上で実践しておきましょう。分筆すれば評価そのものを下げて相続税も減らすことができます。

【著  者   長 岡  利 和】


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