住宅ローンの金利に注目 相場と市場の関係は

住宅ローンの金利が「今が底だ」といわれ続けてもう、数年が経ちました。変動金利で住宅ローンを組む場合、現在は0.5パーセント台のローン商品も登場しています。
借り入れを行うときに最も慎重に決めたいのが「固定金利」か「変動金利」で借りるのか。このいずれかを選ぶことで、後に返済していく20~35年間の総返済額が大きく変わります。
気になるのは、今の金利相場がこの先どのくらい続くかという点でしょう。

○住宅ローンの金利相場はどのように決まる?
不況といわれていた頃が懐かしくもありますが、かつて日本は(20年ほど前)、バブル崩壊後に一転し、急激に不況へシフトしていきました。
物が売れない、消費しない世の中の動きから市場の動向に見通しが立たなくなり、経済は冷え込み、節約志向が一気に高まりました。
売れなければ作らない、これが企業側の事情です。売るものが減り、さらに消費が減速して、経済は好転する気配も無く不景気が加速します。
ここで起こり始めたのが貸付金利の引き下げです。企業や事業家に貸付を行ってその利息で運営・運用をする金融機関は、貸付金利を下げて、投資金額を狩り易い状況を作ります。そうして、徐々に金利が下がっていくのです。

●ニーズを起こしたい時は低めの金利相場に
景気が悪くなると、消費が落ち込みます。もちろん企業活動も鈍化していきますが、消費を刺激するために、できれば高額商品を購入するきっかけを作り、経済全体のお金も動かしやすくすることが必要でした。
不景気突入時の企業活動再建は難しい、でも個人消費は維持したい…。そのために採られた策が金利の引き下げです。一時の消費税増税(5%から8%へ)前に起こった駆け込み需要は、当時の日本経済を大きく動かすポイントでした。
しかし、前倒しで購入した需要をキープさせることはできません。特に、住宅のような大きな購入資金を要する買い物は、消費税が上がった直後から、極端に冷え込むことも想定できたはずです。
金利相場を決める要素は、第一に市場動向です。そのため、全体的な相場を下げて、とにかく消費と物価を上昇させるために採った国の政策が「ゼロ金利」でした。

●ゼロ金利以後の住宅ローン 相場に変化は
ゼロ金利政策を打ち出しても、思ったように消費が伸びないこともあり、現在はマイナス金利政策を行っています。金融機関と国(日本銀行)間での金利をマイナスにすることで、金融機関は更に低い住宅ローン金利を打ち出すことができる様になったのです。
日本の経済活動と各種ローンの金利相場の決め方は、密接に関係しています。これから先、今のままの金利が数十年続くとは考えづらく、金利上昇が起こった場合を想像すると、固定金利のほうがいいと思う人もいるでしょう。
しかし、こればかりは先の将来の動向と大きくかかわるため、一概に言えません。
ただ、目安は物価指数の上昇。物価が上がるということは、企業の経済活動が整って価格に反映させても売れると見越す、という意味を含みます。
経済が好転して物価が上がりそうなタイミングが、住宅ローン金利の上昇に向けて転換するポイントとも考えられます。
日本の景気、経済の変化に注目しておくと、タイミングよく金利交渉や借り換えができるかもしれません。
借りっぱなしで放置せず、定期的にニュースをチェックしながら、今の住宅ローン金利の相場を知っておくことが大切です。

【著  者   長 岡  利 和】


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