不動産を贈与してもらったら不動産取得税が掛かります

 平成27年に税制改正が行われ、相続税の基礎控除額が引き下げられました。それまで、事業や不動産を多く所有している人とその親族にしか問題とならなかったような「相続」ですが、マイホームを持つ一般サラリーマン世帯でも対策の必要性を感じられるようになりました。
 遺贈や相続は、前もって親族で十分に話し合いをしておかなければ、後に骨肉の争いを生む原因となります。そこで、対策として注目されているのが生前贈与。相続ではなく、贈与という形で継承者を決め、相続発生事由(被相続人の死亡)前に、あらかじめ分与を行って、相続時に多額の納税額を支払うリスクを減らそうという目的に適っています。

〇不動産は贈与か相続か

 もし、土地付き建物一戸建てのマイホームを所有していた被相続人が、不幸にも突然亡くなってしまったとしましょう。被相続人と一緒に住んでいた配偶者は、そのままマイホームに住み続けたいという願いを持っていたとしても、法定相続人との相続分与や、遺産分割を相続税申告期限までに行わねばなりません。
 相続人同志の思惑や、家族関係、遺産の額や規模によっては、スムーズに話が進まないことのほうが多いように感じます。しかも、マイホームを相続分与するには、持ち分に応じて換価して清算したり、持ち分で共有したりと、かつてのように安心して平穏な日を過ごすマイホームではなくなる可能性があります。
 配偶者控除の特例もありますが、節税を検討して相続人と話し合いをしているうちに、あっという間に時間だけが過ぎ、十分な対策をとれないまま相続税を支払う事になりかねません。
 贈与を前提にした財産分与の話なら、タイミングにとらわれず、話し合う機会も十分に取れるでしょう。また、税制改正時に不動産取得税が4%から3%に軽減されたのも、生前贈与に注目が集まった一つの要因でしょう。

〇不動産の相続には取得税は掛からないけど

 相続によって不動産の譲渡を受けた人には、不動産取得税が掛かりません。単なる相続という事由によって、所有管理する人が変わるだけのことです。
 しかし、贈与の場合は違います。誰にどれだけを譲るかは、言ってしまえば協議または所有者の意思によるものです。贈与には自由度があり、話し合いや贈与する人の意思次第で、譲渡する先を変えることもできます。
 なので、贈与を引き受けた人は、その所有者となるために必要な手続きをせねばなりません。固定資産税台帳の所有者に記載され、得た不動産にかかる登録免許税や不動産取得税を払わねばなりません。
 
 相続と贈与の、どちらが節税に効果があるのか。いろんな特例や条件を検討して税額算出をしているでしょう。しかし、一般的に、固定資産評価や取得税・登録免許税の支払い余剰を考えると、相続のほうが税額を低く抑えることができるケースが多いようです。
 賃貸などの投資物件とマイホーム、床面積の広さといった条件によって、受けられる特例も変わります。不動産取得税は、登記の有無や有償・無償に関わらず課税されるので、節税効果が高い譲渡方法を検討しておくことが重要です。


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