住宅ローンに潜むリスク 金利と総返済額のバランスを

金利が低いうちにマイホームを買っておこう…という人は多いでしょうが、購入前にしっかり意識と覚悟をしておかねばならないことがあります。それは、住宅ローン融資の選別とマイホームの購入金額限度です。

〇住宅価格と総支払額の隔たり 金利とリスク
どんなマイホームに住むか、どのくらいの価格までマイホームのために捻出できるか…これは購入前にしっかりと話を詰めておかねばならない、最重要項目といえます。しかし、購入の手続きが済んでしまったあとは、ローンの返済について考えることなく、契約のままに払うことばかりに気を取られていませんか。

●返済開始からが住宅ローン返済のスタート
マイホームを購入するまでは、決めなくてはならないことや署名、押印をするシーンがたくさんあります。いろんな話し合いや契約を終えて、引き渡しを受けると「やっと終わった」という気分にすらなるものです。これから住まう家が決まって落ち着く気持ちもわかりますが、実際には返済が始まる引き渡し後からが勝負といえるでしょう。
自分の家に住まい始めてはいますが、本当の意味で自分のものにするには、まだ数十年かかるという意識は忘れずにいましょう。そのうえで、家のあり方や支払うローン額など、節目節目で、生活と住まいのバランスを考えていくようにしましょう。

〇低金利住宅ローンだからこそのリスク
金利が低ければ、住宅本体価格に少し上乗せする程度で家が買えるのでは?と短絡的に考えるのは危険です。低金利だからこそ、その金利と支払い方法に潜むリスクを理解しておく必要があります。

●超低金利住宅ローン 変動型のリスク
店頭公開される金利の最低水準は、取り扱うローン商品の中で最も低い金利となります。住宅ローンの場合、最も金利が低いのは「変動型」と呼ばれるものです。
これは、毎月変化する変動金利型商品の数値を半年ごとに見直し、金利が変わるというもの。そしてたとえ金利が変化しても、返済額は五年間据え置かれます。
例えば、借入のときと比べて半年ごとに金利上昇を繰り返して、5年後に大きく金利が変わっていな買ったとしても、コンマ数パーセントの差は元金が太い住宅購入費に乗じれば数十万円単位の差額を生みます。

●住宅ローン返済額は変わらない 一括清算のリスク
例えば借り入れから5年後に金利が上昇しても、それ以後の返済額は従前の125%までしか上がりません。疑問に感じませんか?実際にはそれ以上に返済しなければならない金利分が上乗せされているはず…利差分の支払いはどうなるのか。実は5年ごとにまとめて未払い利息分を清算しなければなりません。
過去に、一度未払い利息分が発生する事由があったようですが、今後は(今の超低金利時代が転換したら)利息分の清算を繰り返すような時代が来るかもしれません。
住宅ローンの選び方は、収入やリスク管理に応じて、自分が良いと思ったものに対して自由に申し込んでいいと思います。しかし、どんな住宅ローンにも、その差はあれど必ず金利の上乗せはあり、最後は自己責任で管理しなければなりません。
安心をとるか、可能な限り少額返済を目指すか。節目やライフイベントに合わせて、こまめに金利をチェックしながらローンの支払いを当初の契約のままにしないことが大事です。

【著  者   長 岡  利 和】


投稿日

カテゴリー:

最新記事一覧