相続遺産と住んでいる家 節税のポイントはどこにある?

マンションや一戸建ての実家がある両親がいる場合、その実家はいずれ相続財産として誰かが引き継ぐ、または分与のために売却することになります。
ただ、相続と税金、遺産分割、相続税納付の条件などをトータルで考えたときに、これから実家をどうするか、子どもたちは家を建てるかなど、相続人の生活やライフサイクル、スタイルと相続は密接に関係してきます。
配偶者や子ども世帯の想いもあるでしょうが、後に相続人みなが揉めないための相続税対策を検討しておくことが大切です。

〇子どもが家を建てることと相続税対策の関係
子どもが成人して家を出て、いずれ結婚して子どもが家を建てる…。傍からこの話を聞くと、理想的な子どもの成長だと感じる親世代は多いでしょう。
しかし、実家がある子どもから、自分たちで家を購入するといった相談を持ちかけられたときこそが、相続について話をする絶好のタイミングです。

●持ち家のある子どもは相続税減を望めない
実家で同居する子どもと配偶者は、基礎控除のほかに、相続税控除にまつわる特例があります(相続税と贈与税に関係します)。しかし、持ち家のある子どもが相続財産の分与を受けたとき、基礎控除のほかに相続税節税に繋がるカードがありません。大幅に相続不動産の評価を減らすことが可能な要素が無いのです。

●節税のためには住んでる家の「評価」がポイント
相続資産が不動産だった場合、その税額算出に用いられるのは、時価相場や再調達価格ではなく、その建物評価額です。
もちろん、時世によって評価が変わったり、実家が建った後に区画整理や土地開発が行われたりすることもあるでしょうが、これらは土地に関する評価の変化であって、住んでいる建物(家)は一般的に評価が減少していきます。
実家暮らしの子どもには相続税節税ポイントがあるという事とあわせて考えると、仮に子どもが所帯を持っていれば、実家の親と同居するという方法で特例の対象となりえます。

●住んでいる家を活かして相続税を節税する
子どもが単身者であれば、住みなれた実家の修繕やメンテナンスとして、子どもに家族があれば、住んでいた実家を二世帯住宅に改修して同居を保つという方法が、相続税節税の効果を得やすくなります。
 相続税特例を視野に入れた住宅の維持方法を検討することと、負債が増える、または家そのものの評価が低くなるような方法を選んで改修することで、相続税の額を減らす事が出来ます。
まずは、実家やその他相続財産の話をするのと同時に、子ども世帯が自分たちで住宅購入をするのかどうか意思確認をしておくと良いでしょう。購入に際して相続と絡めた話が出来れば、住宅購入ではなく、いずれ相続人の手にゆだねることになる実家を活かした方法で新たな住まいを考えるきっかけにもなるでしょう。

【著  者   長 岡  利 和】


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