不動産を売却した際にかかる税金のしくみとは

 核家族という言葉がむしろ日常化している現代の日本では、実家が空き家になったり、不動産投資に活用したり、逆に二世帯住宅へ改修工事を試みたり…と、不動産の処分や活用の動きが活発です。しかし、不要になった不動産は持っているだけで維持費と税金がかかります。ならば、価値があるうちに売却処分してしまおうという人も増えています。
 所有する不動産を売却したら、税金がかかるかどうかが一つの分岐ポイントとなるでしょう。今回は、不動産売却によって得る利益や損失と税金についての話をします。

〇売却益が出れば税金が増える

 土地や建物を売却し、利益が出たらそれは「譲渡所得」となります。譲渡所得は、給与や副収入入(事業所得)とは別に所得税計算をする「分離課税」です。

●売却による譲渡所得の計算方法

 譲渡対価(売却価格)から、取得費や売却に必要となる費用を差し引いた金額(不動産の購入価格よりも高く売れた利益)が、譲渡所得です。
 ただし、建物は築年数とともに価値が減少(減価償却)します。よって、マイホームなど個人で使用する不動産の取得費は「購入当時の価格から減価償却費相当の額または減価額を差し引いた」額になります。

●不動産売却で出た利益と税金

 不動産を売却して得た利益に対しては、先に述べたように所得税が課税され、同じく住民税もかかります。そして、平成49年まで所得税を納める個人、法人を問わず復興特別所得税がかかります。それぞれの税率を乗じて合算した税金を納めることになるのです。

〇もし不動産売却益がでなかったら

 事情があって、購入した不動産を売却しなければならなくなり、結果として赤字となった場合にはどうなるか。住宅ローンを組んで返済をしてきたうえに、利益がないどころか損してしまうのは、個人世帯にとって大きな痛手です。収入の都合によっては、住宅ローン返済ができないことを理由にマイホーム売却を考える人もいるでしょう。

●マイホーム売却益がでないときの特例

 原則として、不動産譲渡による損失は、他の所得と通算できません。給料から損失分を差し引いて総所得を計算することができないのです(他の不動産譲渡で利益があれば通算は可能)。
 そこで、所有期間が5年を超えるマイホームを売却した時に出た損失を、一定の基準に沿う場合に限り所得と相殺することができる「特定の居住用不動産の譲渡損失の損益通算・繰越控除」を受けられるかどうかがポイントになります。
 仮にこの特例を受けることができれば、所得から損益分を差し引きするため、所得課税額を減らせます。
 売却後、あらたに住宅ローンを組んで不動産を購入する場合と、単に自宅を譲渡した場合によって、適用となる要件が異なります。売却する前に、不動産会社や税理士に相談して、売却益や損失によって所得と税金がどのように変わるかシミュレーションすることをお勧めします。


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