農地の扱いと活用をどうするか 相続税との関係

相続で農地を譲り受けた、そのまま所有していても固定資産税が掛かるだけだから、なにかしら土地活用したい…という状況は、特に地方で起こりがちなケース。
ただ、土地を相続する場合、気を付けておかねばならないポイントが、実はたくさんあります。農地を相続した時、その土地をいかにして活用し、相続税をいかに抑えるか。土地活用と節税は同時に考えるようにしましょう。

〇農地を相続した場合の相続税
登記簿上で地目が農地の場合、その土地の上に建物を建てる可能性があるかどうかを考えてみましょう。ただ、都市計画法によって、土地の利用方法が制限されることがあります。相続した農地が市街化区域にあるか、または市街化調整区にあるかを、まず調べましょう。

●市街化区域の農地を相続した場合の税
農地は宅地と比べて、一般的にその評価額が低くなるので、固定資産税等のランニングコストも低く、相続財産価値としても低めとなります。そのため、相続税課税額も低くなります。
これは、保全農地(一般農地)の場合であって、市街化区域内の農地は、その後都市開発に有効な使用方法を推進して市街化を図るために、宅地に近い評価額となることがあります。
宅地課税評価=高い、このイメージだけで市街化区域内の宅地を農地に転用しても、相続税の節税につながりにくいでしょう。

●市街化調整区域のの農地を相続した場合
市街化調整区域の農地を相続した場合を考えてみましょう。その農地は、今後有効活用できる土地かどうかと問われたら、消極的な答えになってしまうでしょう。
そもそも、市街化調整区域は、市街化抑制を目的にしています。保全し、開発を今後行わない方向性を示しているので、土地活用は望めません。
農地を転用して宅地に変えても、その土地に建物などの建築許可や開発許可を得ることは難しいので、現況のまま農地として農業に用いることになるでしょう。相続税の課税評価としても低くなり、「活かせない安い農地」として所有するのみです。活用できる見込みも薄く、土地の売却も難しいでしょう。

〇宅地を農地に変えて相続税を安くする?
宅地を相続した場合、その土地に居住用の建物があれば評価が下がりますが、更地で相続した場合は、控除や特例は受けられず、そのままの評価価値で課税されてしまいます。
もし、宅地でありながら、その土地を利用する予定が将来に全く考えられない場合は、農地に転用してもいいでしょう。
土地の地目は現況で判断します。仮に登記簿上の宅地であっても建物はなく、耕して継続的に作物を育てているような状況は、宅地と呼べませんね。(反対に、農地に建物を建てた場合は、宅地としての地目変更するように促されることがあります。)地目の変更は、状況が変わってから一か月以内にする必要があります。
都市計画や市街化区域などをチェックしながら、その土地を生かす方法を適時考えるようにしましょう。

【著  者   長 岡  利 和】


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