住宅ローンの支払いと別居中の夫婦 問題となるのは

一度は生涯を共にしようと誓い合って結婚したものの、そののちの生活から、別々の人生を歩んだほうがいい…と、別居や離婚を選択する夫婦はいます。それぞれの生き方を有意義にするための選択方法ではありますが、必ずと言っていいほど「その後の生活にかかわるお金」でもめ事が起こります。

○住宅を購入していた場合のローン支払い
夫婦の生活拠点として購入したマイホーム。別居をし始めた途端に、その支払はとんでもない「お荷物」になってしまいますね。簡単に売却をすることもできない、住宅ローンの支払いは毎月決まって引き落とされる。しかし、そこに住まうのは別居する夫か妻のどちらかということになると、家を出るほうは支払いを免れて別生計を考えればいい、という単純なものではありません。

○住宅ローン名義が夫の場合
夫婦関係がどの程度か、によっても異なりますが、関係修復可能な、元の鞘に収まる前提の前向きな別居なら、住宅ローン名義となっている夫が家から出ても、そののちの将来に希望が持てるでしょう。
問題になるのは、離婚前提でローン名義が夫、しかもマイホームに住まうのが妻側という場合です。
夫としては、自分が住んでいないのに、その家の支払いをしながら、自分の身の置きどころも準備しなければならないという支払苦が発生します。

●住宅ローンは別居後の生活費に含むか
完全に収支が独立していた夫婦であれば、自分の収入から生活費をやりくりすれば、まだ別居後の生活を検討しやすいですが、専業主婦の妻がいる場合には、妻側の生活費も夫がねん出しなければなりません。
二重生活を行う中での住宅ローン返済は、簡単なことではないでしょう。しかし、住宅はそのローンを返済してしまえば、自分名義の資産となる。という考え方が一般的です。賃貸物件は、家賃を払い続けても自分の所有になることはありません。
別居中の妻側生活費を工面している中でも、その生活費の一部として住宅ローンを負担しているという考えには至らないというのが一般的見解のようです。
(参考:http://iryubun-bengoshi.jp/482)

○住宅ローンを夫婦で負担している場合
共有名義で住宅を購入して、住宅ローンの支払いもそれぞれの持ち分割合から別々の審査を受けて返済をしている場合、別居中であれば、費用負担割合に応じて引き続き返済をしていくことになります。
しかし、これこそ、離婚前提の別居夫婦にとって問題を大きくすることになる可能性があります。完済したのちに、共有名義(負担割合)に応じた住宅をどう処分するかという点で、トラブルになることが考えられます。
単身赴任などでやむなく別居しているケースを除き、離婚を前提とした別居の場合は、かならずといっていいほどマイホームの処分が足かせになります。
住宅ローン返済中の場合は特に、毎月の返済負担が重荷に感じられることもあるでしょう。この場合は、財産分与に詳しい専門家や弁護士などに相談してみるとよいでしょう。

【著  者   長 岡  利 和】


投稿日

カテゴリー:

最新記事一覧