相続税はだれが払う?納付義務と相続人の関係性

土地つき一戸建ての資産価値しだいでは、「ふつう」と呼ばれるような一般サラリーマン世帯でも、相続税が発生する可能性があります。
相続税の節税方法が、ここ2年ほどクローズアップされていますが、実際に相続税を支払う義務がある人は誰なのか?ここがいまいちピンとこない…という人もいるでしょう。
親の資産を受けつぐ相続人、という関係は想像できるでしょうが、もしかしたら思いがけず、相続で払うべき納税義務以上の負担を求められるかもしれません。

○まずは基本から 相続税が発生するか
自分の家には対して資産がありませんから…と、相続そのものを考えず、ましてや相続税の支払い義務がある事すら知らなかったという人もいます。
おおむね、親の資産を配偶者と子どもが受け継ぐという相続が一般的です。まずは相続税が課税されるだけの資産があるかどうかを、きちんと相続人が把握しておくことが大切です。

●被相続人の資産情報を共有しておくこと
相続税の納付義務があるかないか、これを知るためには、被相続人の資産全体を把握しておかねば判断できません。
実はこっそりと、「この世に残されてしまうことになる連れ合いのために、株取引で一儲けしていました」などという、やさしい旦那様の配慮が、相続してみて仇となるケースもあります。
相続税の基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の人数)以上の資産があるかどうかがひとつのラインです。
相続時の資産に基づいて算定しますので、評価が分かりづらい不動産はあらかじめその額を評価証明等で確認しておく事をおすすめします。

○問題がおこるケースは「相続人が複数いたときの納付義務」
預貯金など、現実に分割する事ができる資産なら、大きな問題になりません(ただし、血族の関係性はここでは問題にしません)。まさに、不動産など、分割する事ができない資産の相続をめぐって問題は起こるものです。

●相続税の納税と義務負担
相続税の納付は、現金で納めるのが原則です。現物の不動産を譲り受けても、現金が無ければ相続税の納付義務が難しくなります。
相続税の総額が10万円を超えており、期限内に金銭納付が出来ない時(事由がみとめられれば)担保を提供し、利子税を付して延納をする事もできます。申請はあらかじめ期限内に行う事が前提です。
相続人が複数人いれば、分割相続した人の中には、期限内に納めない人もでてくるかもしれません。しかし、自分は納税義務を果たしても、延滞している相続人に「きちんと相続税を納付しろよ」と注意するだけでは足りません。
滞納している相続人の相続税を、代わりに他の相続人が負担しなければならない事があります。
周りの身内(親族)に迷惑をかけないため、また後のトラブルの元を作らないためにも、きちんとそれぞれが納付義務を果たさねばなりません。
相続でもめるのは、欲が生み出す資産分与の割合と金額だけではありません。互いの納税義務もトラブルが起こる原因になることがあります。後に尾を引かない相続実現のために、あらかじめシミュレーションして、来るべき時に備えることが大事です。

【著  者   長 岡  利 和】


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