取得価格だけではない 不動産の税金も含めた資金計画を

不動産を取得する時は、主にその価格と消費税、住宅ローンの返済金額と金利にとかく注意が行きがちです。しかし、不動産購入にあたってはその他にも支払わねばならないものがあります。特に、税金は価格を交渉する余地もなく、遅延もしてはならない不変額です。一部軽減措置はありますが、決まった税額は忘れずに納めるようにしましょう。

○印紙税・所得税

印紙税と所得税には減税措置の適用がありません。

  • 印紙税

印紙税は不動産売買契約書や金銭消費貸借契約書を作成する時、その契約書に記載された金額に応じて印紙を貼付し消印する方法で納入します。住宅の価格に応じてという点で納入額が異なりますが、個人が不動産の購入にかかる契約をする場合に多い1,000万円から5,000万円の場合には、10,000円分の収入印紙が必要になります。同じく住宅ローンの借り入れをする時の金銭消費貸借契約では、20,000円が必要です。

  • 消費税

不動産購入金額の8パーセント(現行制度)を、購入価格に乗じて計算します。消費税そのものに付いての軽減措置はありませんが、「住まい給付金」など、税額負担を一部補てんするかたちで補助金を給付する方法はあります。年度によって制度や条件が異なりますので、適用されるものがあるかを調べておく必要があります。

○登録免許税

不動産を取得した時に、その所有権など権利関係を明らかにするために、法務局で登記を申請します。土地ならば所有権移転登記、建物なら所有権保存・移転登記を行う事になります。所有権の移転や保存は、固定資産税評価額を基準に算出しますが、マイホーム特例として保存・・・0.4パーセント→0.15パーセント、移転・・・2.0パーセント→0.3パーセントの特例があり、また住宅そのものの設計や設備に長期優良住宅の認定を受けた場合など国の推進する事業については更に税率が低くなるように特例が施行されています。いずれも平成29年度3月末までの特例で、その後継続されるかは国の指針に依ります。

○不動産取得税

土地や建物などの不動産を取得した時に科せらせる税金です。引き渡し日(取得を開始した日)ではなく、基準日が「取得した年の1月1日」となるので、仮に年末に不動産を購入したとしても、その年一年分の税金が課税されます。割合計算などもありませんので、取得日をいつにするかは慎重に打ち合わせをしておかねばならないでしょう。原則は固定資産税の4パーセントが課税額となりますが、平成30年3月末まではこれが3パーセントとなります。更に、宅地は同期間までは課税標準を2分の1にする特例措置があります。

○不動産売却にも税金が

不動産を売却すると、まとまった金額が手に入ります。その売却額から減価償却費などの取得費と売却費用を引いた金額(譲渡所得)から更に特別控除額を引いた金額で利益が出れば、所得税と住民税が課税されます。所有期間5年を境に、短期譲渡所得と長期譲渡所得に分けられ、それぞれ税率と計算方法が異なりますので、一度専門家に相談してみると良いでしょう。住宅や土地の譲渡には見えないお金もかかります。それぞれは少額だと思われがちですが、特に不動産取得税は購入した後に納付通知がきます。通知がきてから慌てないように、あらかじめ準備しておくことをお勧めします。

【著  者   長 岡  利 和】


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