マイホームの資産価値評価の実態は

購入者の一生を左右しかねないマイホーム購入について、国土交通省は、その不動産価値をどう算定して、どのように生かしていくべきかをアンケート調査し、結果をまとめています。
マイホームへのあこがれと、落ち着いた生活を手に入れるために購入を思い立つマイホームユーザーの購入動向とその実態から、土地と建物の関係と資産価値評価の実態についてお話をします。

○「住宅の資産価値に関する研究」
同調査は、平成18年に国土交通省が実施したアンケート調査とその内容をまとめたものです。この調査では冒頭に、マイホームの資産価値、特に市場価格に注目して住宅そのものの価値が正当に評価されているかを調べ、適切な評価につながるために必要な要素を検討したと、その目的を明確にしています。

●新築と中古住宅の違い 住宅の質評価
マイホームを購入しようと思い立ったとき、その多くの人は『新築』を望むケースが非常に多いですが、同調査ではその理由を、市場価格の視点から考察しています。
住宅の質は大きく損なわずに存続している住宅も、その質の評価が正しく行われずに、市場価格では一律に減少していくことを問題にしています。
一度人が住んだ家は、その程度にかかわらず、価格換算した時には築年数で一律に減少評価を行うのが市場の通例で、その質をきちんと価値評価をきちんと価格に反映させるには何が必要なのかを定義しています。

●良質な住宅の建築・維持管理の要素は
資産価値を上げるための要素には、耐久性・耐震性・防火性・防犯性や維持管理の配慮と省エネ性などがあります。ものの良さがそのまま価値評価につながれば問題はありませんが、日本の場合は中古住宅に対する認識と価値評価が低く、スクラップアンドビルドが繰り返されている現状は、日本の住宅取得価格の高さにつながっているともいえるでしょう。
高い技術と四季に対応した日本住宅は、吸湿性や環境順応力も高く、また精巧な作りで、十分な耐用年数を備えているはずです。

●日本の住宅価値評価の実態は 
諸外国では、一度新築した家をメンテナンスして、子孫の世代にまで受け継ぎ、築100年以上の住宅も珍しくありません。一方日本では、中古住宅の価格を決める際には、「不動産価格査定マニュアル」などに沿って価格を決定するとしていますが、販売担当者の相場観や経験をもとにして査定をするのが実情のようです。
一度住まえばその時点で2割ほどの価値減、そののち徐々にマイホームな価値換算は下落していき、木造住宅で20年、RC造で30年建つと、マイホーム自体の資産価値は0になるというのが通例。
 そして、建物よりもその家がある立地が要点となって価格に大きく反映し、見栄えも価値加算の要素だというアンケート結果が出ています。

○省エネ住宅 耐震性への評価
近年では、住宅新築時に長期優良住宅の認定を受けたマイホームは、住宅関連課税が減免されるなどの法的措置をとっていることもあり、長く快適に住まう環境を整えた家づくりに興味が集中しています。
中でも、数度の大地震を経験した後ということもあり、耐震性や光熱費0住宅など、環境に配慮しながらライフラインを保ち、地震に強い(頑丈で簡単に倒壊しない)家の増加が求められています。

●中古住宅も性能と資産価値評価を上げる工夫を
新築時認定のほかに、要介護者や高齢者が住みやすい住宅へのリフォームに対して、国や自治体が補助金を支給するという動きも顕著です。時々に応じて、快適な状態を維持しながら長く住み続け、また中古住宅へのニーズ発掘から、ゆくゆくは空き家問題の改善にもつながっていくことを期待しているようです。
日本は諸外国に比べて、不動産に要する費用割合が高いという統計があります。また、日本人はどこか、新しいもののほうがいいという考え方が根付いているのも、中古住宅への価値を相対的に減少させてしまう理由になっているようです。

【著  者   長 岡  利 和】


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