相続した不動産を売却したい…どんな事が問題になる?

 自分の身内に起こる不幸は、生きている限り避ける事ができません。そして、ふいに訪れた不幸が、後に「相続」という形で親族に波紋を呼ぶきっかけになる事があります。
 相続で不動産を得た場合、その不動産を活用していく事ができればベストですが、相続する人によっては、すでにマイホームを所有していたり、(遠方などの理由で)土地の管理ができなかったりと、不動産を得る事にデメリットを感じる場合もあるでしょう。

〇相続財産の売却と税金

 相続によって不動産を引きついだら、その不動産の所有・管理を担う事になります。実家を相続して住まい続けるというケースもあるでしょう。問題となるのは不動産相続に、何人の人が関わるか、です。
 一人で相続すれば、売却しようが、所有権登記を得て自分で管理しようが、その人自身の問題として自由に扱う事ができます。また、二人で相続する場合も、互いの思いを元に話し合う事は比較的容易です。ただ、三人以上の相続人が絡む場合は、トラブルに発展する可能性が高くなります。

●相続財産を売却して換価分割する
 相続対象不動産を、複数人で分与しなければならないというシーンは、現実にみても多く、またトラブルを招きやすいケースです。相続人に不平等感がもっとも少ない「換価分割」ができると、解決までのスピードも速く、不平不満も残りにくいでしょう。
 換価して、相続税以外で売却益が生じた場合は、譲渡所得税が課税されます。譲渡所得税は所有していた期間によって税率が異なります。相続事由発生後すぐに換価実行すれば、短期譲渡所得税(所有期間5年未満)となるケースが多いでしょう。

●相続不動産を共有名義にする
 相続して自由に売却できるとはいえ、人の手に渡る事に何かしら抵抗を感じる相続人もいます。相続財産を共有名義にして、住宅や土地を売るのではなく人に「貸す」という運用方法もアリでしょう。
 共有名義にするとはいえ、相続人はその不動産の所有者ですので、固定資産税を払わねばなりません。「いずれ売却するし一時的に賃貸して税金分くらいは運用益を出そう」など、安易に考えていると、賃貸借契約の性質上、一方の都合だけで気軽に契約を解除する事ができずに、ずるずると現状維持を続ける結果になりかねません。

●一人が代表で相続する
 昔からの日本的意識に根付いた家長制度の名残…というわけではありませんが、本家や分家、長子などという体裁の手前、一人が相続財産を引き継ぎ、他の相続人に代償換価して相続分を現金渡しするケースもあります。代襲する相続人にとって非常に事態が重く、酷な相続と見受けます。
 代表して所有する相続人は、相続税のほかに自分の収入から代償金を準備しなければなりませんし、その収入にもすでに所得税が課税されています。代償金を受け取る側の人は、そのお金から相続税を支払います。

 相続の後、どのように相続財産を扱うかによって、相続人それぞれのお金の動きと納税するタイミングが変わります。単純に相続税納付だけを注意するのではなく、収入や収益、税率などトータルで損をしないように、あらかじめきちんとした話し合いをしておく方が得策です。


投稿日

カテゴリー:

最新記事一覧