相続税対策として住宅建て替えが注目される理由は

近年何かと話題になっているのが、「不動産の相続と節税」。今所有している不動産を子どもや配偶者に相続させる日が来ることを想定して、相続税の支払いを最小限にしようと考える人が増えています。
サラリーマン世帯でも、土地付き一戸建てマイホームを所有していれば相続税が課税されるかもしれない時代になりました。都心部で同様の物件を所有すれば、地方と比べて評価が高くなるために課税対象者となることも十分に考えられます。
地方部においても、更地や農地を所有していてその土地を活用していない現状に、危機感を覚えている人も多いように見受けられます。

〇建物所有と相続税対策の関係は
土地建物のような不動産を所有していると、その所有者が亡くなった時点でそれはすべて相続財産に変わります。相続財産を引き継ぐもの(相続人)は、相続した遺産の評価額(または預貯金額)に応じて料率を乗じ、相続税を支払わねば成りません。

●相続財産はプラスとは限らない
相続人となる配偶者や子どもらは、相続財産を引き継ぐときにプラスのものだけを受けるわけではありません。勘違いをしている人も多いようですが、「相続=プラスの財産や不動産をもらう」ことではありません。
被相続人が抱えていた負債(借金や買掛)も引き継ぐということを忘れないようにしましょう。相続といえば「もらう」イメージが強い印象がありますが(テレビドラマで骨肉の相続争いをする話もありますね)、プラスと同時にマイナス資産も継承するという意味で考えるようにしましょう。

〇相続のマイナス財産に注目した税対策
相続して負債を引き継ぐ…と聞けば、イメージが悪く感じるかもしれません。しかし、これこそ逆転の発想とでも言いましょうか。前向きに相続税対策をするために負債を作るという方法を考えてみましょう。

●相続税対策するために建て替える?
住宅ローンの支払いを終えてしまい、負債がなくなった実家の相続を受けた場合、その資産価値によっては相続税が発生することになります。住み慣れたマイホームのローンを払い終えた世帯主または配偶者にとっては、安堵の生活だったでしょう。
ただ、負債がない状態では、その資産価値に応じて税負担が発生します。ここで、被相続人が負債を抱えていれば(プラス資産しか課税対象になりませんから)、相続税も発生しない可能性が生まれるのです。
これが、相続税対策のための負債(建て替え)です。必ずしも一戸全部を建て替える必要はありません。改修や修繕工事などを行って、借入(借金)をすることによって、それは負債となります。
被相続人の年齢や健康状態によっては、相続を考えるタイミングも異なってくるでしょう。しかし、いずれその相続財産を引き継ぐ人のことも考えながら、親子孫の三世代レベルで相続税対策を考えることをお勧めします。
一次相続だけを見て対策をすると、二次相続対象者が多くの相続税を払うという例もあります。いかに快適に住まいながら、相続税負担をかけないための対策をするか。そのためにも、できるだけ細く長い負債を作るという面からみて、住宅の建て替え(二世帯住宅化)が注目されているのです。


投稿日

カテゴリー:

最新記事一覧