相続税と特定人が取得した金品授受が「争続」を生む

相続と、相続税納付の問題は、対象となる「法定相続人」の間で穏便に進めればいいという訳ではありません。法的に認められている相続関係以外にも、一人の遺産は思わぬところにまで影響を及ぼします。
金品や不動産の授受となると、それまでは疎遠だった法定相続人も、また毎日を共に過ごしているような相続対象外の人も、それぞれの思いや考え、欲がうごめくものです。

〇相続をきっかけに起こる「特定の人」の存在
例えば、実家の両親と同居を続けている息子夫婦とその子供がいるとします。一緒に生活をする中で、明確に割り切った生活費支出を続けるのは難しいでしょう。
また、実家の改修や改装、機器の補修に息子夫婦が拠出した場合、遺産対象となる実家建物は被相続人のものでも、価値を維持または上昇させるメンテナンス費用の拠出を行っている息子とその妻(相続人外)には、一応の配慮をするべきです。
半面、一緒に暮らしている被相続人の孫(息子夫婦の子)には、日常で過分に金品が与えられていた可能性もあります。出産・誕生や進学の祝いなど、節目に乗じて預貯金から多くの支援を受けているような場合もあるかもしれません。

〇生前に受けた贈与と財産の取得 相続税と贈与税
相続税の節税を考慮して、生前贈与を検討するケースもあります。住宅資金の贈与については、相続税と贈与税の基礎控除が増額されるため、親からまとまったマイホーム購入資金の贈与を受け入れる子どももいるでしょう。

〇特定の財産取得が相続税
トラブルの火種に同居した息子の嫁が被相続人の介護を長らく行った場合など、その尽力は計り知れません。このように、相続人以外の親族が、生前の被相続人の生活に寄与した効果は、法律の定めや権利関係の枠を超えて存分に考慮されるべきでしょう。
また、住宅購入資金を相続税課税時に清算する、特定控除を活用した贈与を行うときは、相続関係者(法定相続人)にあらかじめ、そのことを周知しておくようにしましょう。住宅資金の援助を受けたことで相続税額が変わることや、単なる資金援助ではなく将来的な節税を合わせて検討したという経緯は、相続人全員が知っておかねばなりません。
傍目に見てまとまった資金が特定の相続人に対してのみ動いている、ととられかねない金品の移動が必要な時は、その都度、相続人の了承を得るといった配慮は忘れずに。
また特別受益を受けた人が後々トラブルに巻き込まれないために、生前に取得した贈与は持ち戻しをしない等、遺言を残すという方法も有効です。

 【著  者   長 岡  利 和】


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