住宅ローン融資と抵当権の範囲 土地は分筆しておくべき?

マイホームを新築するためには、家を建築する土地が必要です。
これは大前提ですが、土地があればどこでも家を建てられるというわけではありません。
また、住宅ローンを利用して購入を検討する時、建物と土地にどんな影響が及ぶのかをしっかりと理解しておくことが大切です。

〇「住宅は一筆に一棟」の原則と土地の権利関係  
「親(祖父母)が所有している土地があるから、そこに家を建てれば良いじゃないか。」身内に土地持ちの人がいれば、何かのタイミングで出てきそうな話です。
ローンを組んでマイホームを買おうとする人にとっても、住宅費用が抑えられるいい話に思われがちです。
ただ、ぬか喜びしてはいけません。その土地に家が建てられるかを、まず調べるのが先決です。

●住宅新築の際は登記簿の確認を
土地は、所有していると傍から見える人以外にも権利が関係している場合があります。
また、ひとつ(一筆)の土地だと思っていたが、登記が実は細かく分かれ(分筆され)ていたということも珍しくありません。
まずは、建築予定の土地について実態調査をしましょう。
既に土地の全部または一部に抵当権がついている場合、住宅ローンの審査にも影響が及びます。

●所有関係と住宅ローンの抵当権
新築する家をローンで返済する場合は、家に対して貸付機関の抵当権が設定されます。
例えば新築する予定の土地が、購入せずに借り受ける借地や分筆の集合地だった場合、住宅ローンの融資が通りにくいことがあります。
借地権や、複数の所有権が絡む土地に、住宅ローン融資の第一抵当権を設定する建物を建てるとなると、返済中に権利関係が変更して複雑になる可能性があるのです。
また、古い担保権が登記に残ったままの場合もあります。

●クリアな土地なら住宅ローンも問題なし
少しでもリスクがあれば融資は渋られる、それなら権利関係がクリアになる様にあらかじめ土地の権利関係を整理しましょう。
複数の分筆地は「合筆」で一筆にして所有する、「賃借地
なら契約書をキチンと作成して登記する、身内の土地名義はそのままで家を建てるなら「使用賃借」にして、なおかつ土地の権利を現状に則したものに変更する。
このひと手間が大切です。

●広い土地を安易に分筆しない 住宅が建てられる土地か否か
建物を建てる時に注意したいこと、それは「一敷地一建物の原則」についてです。
身内が所有している広い土地があるから、余った部分に家をもう一棟…と簡単にはいきません。
既存住宅のある土地の空き部分に家を新築するなら、新築住宅用地として土地を分筆することになります。
ただ、建築基準法や都市計画法などといった法律によって、建物を新築するための条件(定め)があります。
この定めに則していない建物には、建築許可が下りません。
なので、安易に素人考えで土地を分筆すると、結果として建物を建てられない「無駄な」分筆になる可能性があります。
法令に詳しい不動産会社やハウスメーカーに相談してから、行動に移したほうが無難でしょう。

【著  者   長 岡  利 和】
 


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