マイホーム購入の頭金にとらわれない 負担率を導き出す

マイホームがほしい、けれど貯金がないから無理だ・・・と安直に住宅購入をあきらめてしまうのはもったいない、という考えに基づいたお話をしましょう。
多くの人が、住宅を買うなら頭金がないと難しいといいます。もちろん、頭金があれば住宅購入額=借入額とならず、借入金額を少なくすることができるため、毎月の返済額を抑えることができると一般的に言われますね。

ただ、家を買って引っ越すまでに必要となる、手数料や引っ越しなどの雑多な支出も多く発生します。これらの支出は現金で準備するのが望ましいといわれますし、実際にその通りでしょう。一過性の住宅購入と関係ない費用までローンを組んでしまい、その支出に金利を乗せて支払うと、将来的に数倍、数十倍の費用を払うこととなってしまいます。

諸費用を準備して、加えて頭金まで貯金しようとなると、何年先に住宅を買えるか見通しが立てづらくなるでしょう。

○問題は頭金ではない
仮に、理想の住宅が既にあって、建物価格が非常に高価だけども諦められないというならば、できるだけ頭金を貯めて、毎月の負担を少なくする努力をしましょう、とアドバイスします。

しかし、「これから自分たちで買えそうな家を探してマイホームを持とう」という気持ちのもとに、住宅購入を検討しているなら、真っ先に行うべきは、「頭金をいくら貯めるか」ではなく「毎月いくらなら返済できるか」です。
 
これから導き出す額は何を表すかというと、毎月の返済可能額が決まれば、年間の返済額が定まります。ボーナスが保証されている職種の人なら、ボーナス加算をしてもよいでしょう。住宅ローンはおおむね20~35年の期間で申し込みを行いますので、最長または最短で返済する間の返済総額を算出します。これがズバリ、住宅購入可能金額です。

○ローン商品によって購入額に差あり
住宅のために支払うことができる可能金額は、申し込みをする住宅ローンの金利も含めた額だということをきちんと理解しておきましょう。単純に考えると、住宅ローン金利が低ければ低いほど、購入代金が高く設定できることになります。
 
金利の低い商品に申し込みをする場合のほうが、低金利保証期間が短くなるのが一般的です。最短で半年ごとの金利見直しが実施される「変動金利」のほうが、長期間または満期まで一定金利を保証する「固定金利」よりもずっと低くなります。見直し回数が増えるということは、その時々の経済や景気のよって金利が今以上にぐっと上がることも想定しておかねばなりません。

○まとめ
頭金の有無だけでマイホーム購入を断念する必要はありません。最近では、諸費用もローンに組み込める金融商品も多くなりました。ただ、購入代金以外の諸費用は、現金で支払う前提でいるほうがよいでしょう。

頭金がないことより、一体月にいくらずつ返済できるかを考えるほうがよほど購入に現実味が増します。頭金があることで、想定していた購入金額の住宅よりも高いものを選んでしまっては、頭金をはじめに入れる意味もなくなってしまいます。

ずっと払い続ける金額を無理なく設定し、積算していくことで、自分たちがどの程度住居費として必要なのかを知ることもできます。
 
【著  者   長 岡  利 和】


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