不動産を売却した時 固定資産税はどうなる?

住宅などの不動産にかかる固定資産税。一年分の支払額となるとまとまった金額になりますね。給与所得者なら、寸志または少なめのボーナスほどの金額がかかることもあります。
もちろん、所有していた不動産の残存価値や土地の広さによって大きく変わってきますが、もし所有不動産を売却した後に納税通知書が、しかも一年分送られてきたら…すでに手放した不動産の税金を支払うなんて、ちょっと納得がいかないという人もいるでしょう。

○固定資産税の納税義務者 定義は
原則、固定資産税の支払いをしなければならない人(納税義務者)は、その年の1月1日時点の所有者となります。
所有者とは、引き渡しではなく法務局で管理する登記簿の記載がされている所有者を基準とします。

●納税通知書が送られてくる時期
1月1日時点で所有者がわかっているのに、年明けすぐに納税通知書は送られてきません。この理由は、登記上の所有者が確定する1月1日以降に通知書を送付するというのがまずひとつ。そして、評価の見直しを行う3年毎の評価替えの際に、あらかじめ時勢や開発状況による不動産評価を例年と同じスピードで行えない為だと考えるのが妥当でしょう。
官公庁は年度でその管理運営を行うのが常で、4月の新年度を迎えて事務方が動き出すということも加味していると考えられます。

●売却と納税義務者への通知時期のずれ
1月1日時点の所有者に対して固定資産税と都市計画税が課税されることを知っていたとしても、すでに売却して手放した不動産の税金を満額支払うのは、なかなか前向きに考えられないでしょう。
仮に1月中に売却が完了して登記を済ませたら…ほぼ一年所有していない従前の不動産に満額税金を支払うのは損をした気分になるはず。
反面、新たに所有する人にとっても12月31日に登記を完了させたいと売主から言われたら、やはりいい気はしないでしょう。売却や登記を急いで税金を払いたくないという意思が見える行為、行動は、心象的に良いものではありませんね。

〇売却時の固定資産税 清算の方法は
中古住宅や、土地の譲渡を行う場合、その売買契約書の中で、固定資産税の負担割合について別段定めるというのが一般的です。
しかも、所有権の移転は登記簿上日付で確認ができますから、日割り計算をして売主と買主が公平に負担をするのが通例です。

●法的な決まりはありません
不動産会社を通じて、土地や中古住宅の売買を行うときは、一般的に双方が割合に応じて固定資産税を負担するケースが多いですが、これは契約の中で合意をすればの話です。
しかし、個人的な売買を行う場合など、仲介に入る人がおらずお互いが当事者として売却・購入をするときは、この固定資産税負担がちょっとした問題になる可能性もあります。
法律上、請求されるべきは1月1日時点での登記上所有者ですから、売却する側が100%の割合となります。買主側が負担に合意すれば、公平な固定資産税負担も実現しますが、実際には負担義務はありません。
また、仮に割合に応じた固定資産税の負担に合意が得られたとしても、その起算日をどうするかによって負担額が変わります。
本来負担すべき固定資産税ではありますが、売却をする側の売主としては、次の所有者にいくらかでも負担してもらいたいというのが心情でしょう。
納付書が送付される前か、または後かによっても分担する税金分の支払い方法が変わってきます。
この点はきちんと契約時に明記して、負担割合の算出方法(日割り・月割り・分納などどの基準で計算するか)と、負担割合の起算日についても売主と買主で共通の認識をしておくことが大事になります。

【著  者   長 岡  利 和】


投稿日

カテゴリー:

最新記事一覧